ボックスのことならなんでも情報局

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村上春樹風に語るボックス

「僕らが何を言ったところでギイは止まりませんよ、島岡さん」
頭を下げた島岡さんに蓑巖くんは言い放った
「いまさらです。ギイにそこまでさせてしまったのは誰か、それを考え直されたらいかがですか? それに、僕らはギイからこれ以上離れる気はありませんから。友人として」
蓑巖くんの一言一言がすごく頼もしい
「承知の上です。実は明日、葉山さんが演奏をされるコンサートですが、カーネギーホールのボックス席を用意してあります。義一さんに来ていただくようお願いしました」
蓑巖くんはふっと笑った
「8席買い取りですか」
「はい。一部屋、社長と義一さんのみです。私はもとよりセキュリティも同席はしません」
「そうですか。ギイのお父さん、葉山くんの生演奏を聴くんですね」
僕はドキッとした。そうか、そういうことになるのか。そして、その席で・・
「でも、葉山くんはいつも通り演奏をするだけですよ、島岡さん。ねえ、葉山くん」
「うん。お客様は、ギイとギイのお父さんだけじゃないから」
「でも、そうだね。生の演奏を聴いてもらうのはいい機会だと思う。あれを訊けば葉山くんの人となりはよくわかるから」
「そうですね。それもあって社長はコンサートを義一さんと会う場所として選ばれたのでしょうし」
くっ・・と、蓑巖くんは喉を鳴らした。なにがおかしいんだろう
「島岡さん。葉山くんの演奏を聴くということで選んだということですが後半のプログラムはもちろんご存じなんですよね」
「・・、はい」
あ・・。僕は今更ながらに気がついた。そう言えば明日はロンドン響とTchaikovskyプログラムだったんだよ。そして、後半のオーケストラの曲は
「悲愴・・。ほんとにいいんですか?」
「社長はMETのパトロンを長く続けておりますからクラシックには造詣は深いですよ」
「そういえばそうでしたね。失礼しました」
蓑巖くんのお詫びのなんと慇懃無礼なこと。僕ですらうわあっておもったんだから、島岡さんなんてその意味はビンビンに伝わっているんだろうな
「先ほど、ポジションのことをお話しましたが、これは蓑巖さんと取引をしたいと思ったわけではありません」
「どういうことですか? 条件ではないと」
「いえ、それどころかFグループそのものを立て直すためにお力をお借りしたいと。そういうことです」
「はい?」
さらに、蓑巖くん、目を白黒
「蓑巖さんの力量については充分に存じ上げてます。その上でFグループにお力添えを願えないかと」
「僕には僕が選んだ仕事が今ありますし、僕にとってFグループが存続するかしないかは全く関係のない事柄ですから」
「ご存じの通り、Fグループには傘下に万単位の社員がおります」
「島岡さん・・」
はあっと蓑巖くんはため息をついた
「大型倒産など、アメリカではいまさらでしょう。GMが破たんしたぐらいなんですから。ワールドコム、エンロン。枚挙にいとまもない」
「それはそうですが」
「僕らにとってはFグループはそれと同等なんです。僕が手を貸す義理はありません」
「蓑巖くん、帰ろう」
思わず僕は口にした
「島岡さん、途中で失礼するのは申し訳ないんですが、これ以上お話を訊いてもかみ合わないだけのような気がしますし、何よりも、僕の明日の演奏に影響を及ぼしそうな気がします。僕はホールにギイのお父さんがいようがいまいが関係なく、僕が納得する演奏をしたいんです。そのためにはコンディションを整えるためにいろんなお誘いをお断りしたりします。蓑巖くんに手伝ってもらいながら」
「託生さん」
「明日のコンサートのために、今日はこれで失礼させていただきます。蓑巖くん、行こう」
「そうだね。その方がいいね。島岡さん、では」
僕らは個室に島岡さんを残してその場をあとにした
僕らが泊まってるホテルはすぐ近くなので、そのまま歩くことにする
「あー、息がつまったあ」
外に出て、深呼吸
「だね。葉山くん、切り上げてくれてありがとうね」
蓑巖くんが微笑んでお礼を言ってくれた
「ううん。なにかさ、僕にはよくわからない話になっていくし、あのままあそこにいるとほんとに調子がおかしくなりそうだったから」
「たしかにね。来る前に退席しちゃおうって決めてきてよかったよ」
そして、蓑巖くんがうーんと首をひねる
「にしても、あの島岡さんにしてはずいぶんと支離滅裂な申し出だったね」
「あ、やっぱり支離滅裂だったんだ。僕は何が目的なのかさっぱりわからなくて、ちょっといらいらしちゃって」
「もしかしたらだけれど」
「うん・・」
「今日、島岡さんが来たこととその内容、僕らがギイに伝えることに意味があるのかも」
「え?」
僕はギクッとして蓑巖くんを振り返った
「なにかね。感覚なんだけれど、僕に誘いをかけているというよりも、その先にギイがいることを意識しているように見えたんだ」
「じゃあ、蓑巖くんにFグループの立て直しに協力してほしいっていうのは」
「僕の名前をギイに置き換えればぴったりだよね」 
「だったら、直接ギイに言えばいいのに」
「たぶん、それを言うのは、明日、ギイのお父さんだよ。ギイのお父さん退任と引き換えに社員を救ってくれというのはていのいい言い訳で、実際は・・」
「Fグループを引き継いでくれってこと?」
「まあね。ギイの少しだけ弱いところをついてきたね」
「え・・」
「自分を憎むのは構わないけれど、社員は関係ないだろうってこと。今、Fグループレベルで社員という立場になれて給与をもらって生活できているのはアメリカではとても貴重なことなんだ。彼らを犠牲にしないでくれって。いわば、社員を人質に取ったようなもの」
「卑怯だよ、そんなの」
おもわず、僕の口調は荒くなった
「そうだね。すごく厭わしいというか鬱陶しいね、手口が」
「そういう回りくどいやり方がこれまでのやり方だったのかな。島岡さんたちにとっては当たり前のことだったのかな」
「それもなくはなかったと思うよ。でもね、葉山くん。彼らFグループは他社を買収する時にはそういうことは遠慮なく切ったりしているんだよ」
「うん、それはギイが祠堂にいたときに訊いたことがある」
「そうなんだ」
「切り捨てる選択を間違えたら、自分の存続に関わるからって」
「そうなんだよね。それは当たり前のことなんだ。だから、NYのビジネスマン達は常に自分に付加価値をつけようとする。なにがあってもどこに行っても通用するように」
「でも、そういう人ばかりじゃないってことだよね」
「それをわかったうえで、ギイは仕掛けているんだ。自分の存在をかけて。そうでもしなければ、あれだけ深く絡まったしがらみを振り切ることはできないから」
「蓑巖くん。それでも、やっぱり話さないとだよね、ギイに」
「もう、ギイはこのことは知っているよ。セキュリティガードからも連絡は行っていると思うし」
「あ、そうか」
「ギイがキレないことを祈るだけだよ、もうさ」
「だね・・」
僕らは、はあっとため息をついた

 

ボックスを探している方、ラッキーです♪

シェリー・ファブレイ(シェリー・ファベアズ)
女優
生年月日: 1944年1月19日 (73歳)
配偶者: マイク・ファレル (1984年から)、 ルー・アドラー (1964年 - 1980年)。「ジョニー・エンジェル」(原題:Johnny Angel)は、シェリー・フェブレーが1962年2月に発表したデビュー・シングルで1960年にローリー・ロマンとジョージア・リーがそれぞれ発表した楽曲のカバーだそうです。作詞作曲:リン・ダディ、リー・ポックリス。発売された年の4月7日から4月14日にかけてビルボード・Hot 100で2週連続1位を記録した。またキャッシュボックスでも1位を記録し、ゴールドディスクに輝いた。また、カナダとニュージーランドでも1位を記録した。
その他のカバーソング。森山加代子 - 1962年7月のシングル「五ひきの仔ブタとチャールストン」のB面。
ザ・ピーナッツ - 1962年9月のシングル。
カーペンターズ - 1973年のアルバム『ナウ・アンド・ゼン』にメドレーで収録。また、1975年発売の『ライヴ・イン・ジャパン』にも同じくメドレーで収録。
竹内まりや - 2003年のアルバム『Longtime Favorites』に収録
子供の頃、見ていたアメリカのホームドラマ、うちのママは世界一、で歌われているのを観てアメリカン・ポップスに憧れを抱いた。と云うか、ドラマの中の生活そのものにも憧れた。今では、オールディーズと呼ばれているアメリカが今以上に輝いていた古き良き時代を象徴している様なドラマでした。今でも、その頃の気持は、色褪せないのを自分でも不思議に思う。今日も1日、オールディーズ・マインドでGO! ??? では!


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